異世界転移から考える言語

今日は比較的真面目(当社比)な話をします。

突然なんですけど異世界転移の主人公ってなんで転移した先の世界の言葉喋れるんでしょうね?

ってまあこれは私がまだ真面目に大学のサークルに行ってた時に先輩に言われたことなんですが。

確かになあって思ったんです。

古の夢女だったので、異世界転移する話は大好きです。
私が中学生位の時はトラックに轢かれて死んで、自分が好きだった漫画の世界に行く…って話が腐るほど投稿されてたんですよね…ていうか私も書いたことがある。
今思えばアレが異世界転移の前身だったんでしょうか。

同年代の夢女だったオタクは占いツクールっていうま〜業の深いツールを知ってると思いますがまあね、私はアレでありとあらゆる黒歴史を作りましたとも。
そのせいで中学生の時の自由帳が私特攻を即死攻撃を仕掛けてk…まあこの話はいいんですが。

ちょっと前の異世界転移では言語の問題って触れられもしなくて、知らない世界だけど言葉は喋れるって展開が多かったような気がします。
最近は精霊さんが〜とか、魔法で〜とか、はたまた異世界に飛ばす前に神様的な何かが私に異世界の言語に関する能力を授けてくれた!って展開で言語の問題をクリアしたりしてますね。

ちなみに精霊さんが〜ってやつは、1回主人公が恋人にかまけすぎて精霊さんが怒り、異世界の言葉を話せなくしてしまうって展開がありましたね。
主人公がパニックになった所を恋人が名前を呼んでくれてパニックが治まるってちょっとキュンとする展開があって…
いやまあそのあとセックスしてたんでなんかもうどうでもいいんですけど、この話やめます。(ちなみにパニックになった主人公を見て精霊さんは反省し、また主人公が異世界の言葉が喋れるようにした、無能め…)

なんで異世界の言葉を話せるかって、まあメタメタな言い方をすれば、異世界の言葉を話せるようになるまでの過程を入れると普通に本筋から逸れ過ぎてしまうってことなんじゃないでしょうか。
異世界転移の見せ場はどれだけ魅力的な世界を作ってその世界で主人公が冒険するか、ですから。
部屋に閉じこもってノートにカリカリやってたんじゃつまらないですものね。

じゃあどんな世界だったら言葉が話せなくても後でその世界の言語を獲得できるのか、私、気になります!!!!!(死)

大黒屋光太夫っているじゃないですか。
江戸時代に漂流してロシアに辿り着き、エカテリーナ二世に拝謁して日本に帰ってきた日本人です。
鎖国の時代の日本からロシアに行った大黒屋光太夫は、異世界転移の主人公と似たようなところあるんじゃないかなって思ったんです。

大黒屋光太夫の帰国後、彼の話を基に「北槎聞略」っていう本が書かれているんですね。
書かれた当時は外国のことが書かれているんでまあ禁書になっちゃいましたが、井上靖がその「北槎聞略」を基に「おろしあ国酔夢譚」って小説を書いてるんですね。
で、これは映画化されてるんですが、タイミングよく授業で観ることができました。

いやほんといい映画だった…主演の緒形拳がま〜本当に渋い、いい男でね、いや…まあ話もいいんですけど。
あ、あと補足ですが、本編後半に緒形拳西田敏行のキスシーンがあるんで皆さんどうぞ。
先生もオススメしてました(キスシーンを)、是非観てみてくださいね。

それを観ると、ロシアに漂着し、現地の人達と接触した光太夫達はまあ言語の壁にぶつかります。
ロシア語なんてぜーんぜん知りません、ただの船乗りである光太夫達にとっては当たり前なんですけど。

と、ここである言葉が活路を開くんです。

それは…「エトチョワ」。

なんのこっちゃって感じでしょうがこれは「What is this?」。
割と砕けた言い方らしいので「これ何?」って感じでしょうか。
太夫に「親方、エトチョワって言葉使うと、物の名前教えてくれんだよ。」と船員の1人が教え、次の日から光太夫達はあちこちで色んなものを指さしながら「エトチョワ」「エトチョワ」と聞きまくります。

ウザい異邦人だなと思われたでしょうが、当時のロシアには漂流民の救済システムがあって、漂流民のために国がお金をくれたんですよね。
それもあってロシアの人々は光太夫達を無碍に扱わずにいてくれたようです。

とまあこれで語彙を増やしていって、言語を獲得した、ということらしいですね。

これを踏まえると、
・相手が友好的であること
・受け入れる側が漂流民(つまり自分たちと別の言語を話す人達)の存在を了解していること
が大事なんじゃないでしょうか。

と、もう1つ。
NHKのドキュメンタリーでやったらしいのですが、ある言語の最後の話者になってしまった人(その人はその言語しか喋れない)が、友好的な人々に保護されているにも関わらず、保護している側の言語を全く獲得できない、というケースがあるらしいのです。

これなんでなんですかねって言語学の先生に聞いたら、周りの他の言語との関わりがあったかどうかが大事なんじゃないか、だそう。
少数民族で、全体で全く同じ言語を話し、かつ他の言語を話す人々との関わりがないと、他の言語が獲得できないことがあるのではってことでした。

Wikipediaを参考にするのはダメなんですが、確かにWikipediaで「最後の話者」って検索しても、出てくる人達って他の言語話せる人ばっかりなんですよね。
まあ現代で人間が住めて未開の地ってもうあまりないから他の言語と関わるって当たり前のことなんですが。

余談なんですけど、私はこの話を言語学の先生に聞く時に思いっ切りコミュ障と無能を発揮して、「???どういうこと?何の話???」って聞かれました。
今もうそれから5時間位経つんですけどまだ引きずっているのでこの文章を書くのが辛いです…ごめんなさい先生…無能で…無知で馬鹿ですみません…

という訳で長々書いてみましたが、言語って本当に難しいなあって思いました(こなみ)。
私に知らないことが多すぎて、憶測がとっても多いんですけど、ちょっと整理をつけたくて書いてみた次第です。

またBL漫画レビューで会いましょう。